火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第14章 炎柱、そして迫る影
蜜璃が最終選別へと向かい、七日が経った。
ふみの達は家の外で
蜜璃の帰りを待っていた。
(蜜璃ちゃん…っ)
ふみのは祈るように
ぎゅっと胸の前で手を握る。
杏寿郎はそれを見て
ふみのの肩にぽんと手を乗せる。
「大丈夫だ!甘露寺は戻ってくる!
信じて待とう」
「うん…!」
「〜〜〜〜!〜〜〜〜!」
誰かを呼んでいるような、
女性の高い声が聞こえた。
「この声…っ!!」
声のする方をじっと見ると
よろよろと歩いてくる
蜜璃が見えた。
「蜜璃ちゃん…っ!!!」
「甘露寺!!」
「蜜璃さん!!」
ふみのは蜜璃の元まで走って駆け寄り、
強く抱きしめた。
「蜜璃ちゃん!お帰りなさい!!
よかった…、本当に良かった…っ!!」
「う、うわああんっ、
ふみのさんんんっ!」
蜜璃の顔は、
涙と鼻水でぐしょぐしょだった。
「良く戻ったぞ!甘露寺!!
選別突破、おめでとう!!」
「し、師範〜〜!!
ありがとうございますうぅ〜〜っ
うぅ、怖かったあ〜〜〜っ」
うわんうわんと子どものように
泣き叫ぶ蜜璃の顔を
ふみのは優しく両手で包む。
「蜜璃ちゃん、怪我はしてない?
痛むところはない?」
「け、怪我は、ほとんどなくて
擦り傷、ぐらい、なんですけど…っ」
ぐううぅぅぅ
「「「・・・」」」
「お、お腹が空いて…、
もう、だめ、ですぅ……」
バタンッ
ゴンッ
蜜璃は極度の空腹により倒れてしまい、
その拍子に地面に額を打ってしまった。
「蜜璃ちゃんっ!?しっかり!!」
ふみのは蜜璃を仰向けにさせると
額がぽこっと腫れていた。
「おでこ、いひゃい…ですぅ…、
ご、ごめん、なしゃ…い、
もう、動け、ない、で す…」
蜜璃は半分白目になって
ぐったりとしてしまった。
杏寿郎はさっと駆け寄り、
蜜璃を抱き抱えた。
「俺が甘露寺を家まで運ぶ!
ふみのは何か食事の用意を頼む!
あと念の為、笹川先生の往診も!」
「うん、分かったわ!」
ふみのは杲を飛ばすと
医師の笹川もすぐに駆けつけてくれた。
ふみのと千寿郎は手分けして
蜜璃へ食事を急いで作った。