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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第14章 炎柱、そして迫る影



ふみのは体を震わせながら
槇寿郎へと歯向かうように言い放った。

「…こんなにも…っ、杏寿郎と千寿郎くんは
 槇寿郎様のことを想っているのですよ!?」

「黙れ!!俺の何が分かる!!」

「…っ」

「父上!!!」

杏寿郎も声を荒げる。

「…申し訳ありません…。
 出過ぎた真似を、お許しください…っ」

ふみのは泣きそうになるのを堪え
槇寿郎へ頭を下げた。

「……」

槇寿郎は黙ったままだった。

「でも一つだけ
 お伝えしたいことがあります…。
 槇寿郎様にはこんなにも
 貴方様を想う家族が、いるのです…っ。
 どうか、それだけは…、
 忘れないで下さい…っ」

槇寿郎はまた歩き出し
門を潜り、何処かへと行ってしまった。


「杏寿郎、千寿郎くん…。
 本当にごめんなさい」

ふみのは
もうそこにはいない槇寿郎の姿を
まだ目で追うように
門の先を見ていた。

「いや、ふみのが謝ることではない。
 父上が酷いことを言ってしまった。
 本当にすまなかった…」

「ううん、槇寿郎様の気持ちを
 私は、何も考えていなかったもの…」

ふみのの横顔は色を無くしたようで、
目には涙が溜まっていた。

それを杏寿郎達に見せないように
ふみのは玄関の中へと入っていった。

「ふみの!」

杏寿郎はふみのを追いかけ、
ふみのの手首を掴んだ。

「…なに?」

目だけを杏寿郎に向けるように
ふみのは振り返る。

今まで見たこともないふみのの
悲しそうな表情に
杏寿郎は声を詰まらせる。

「…っ、本当にすまなかった…」

それ以上何も言えなくなってしまった杏寿郎は
静かにふみのの手首を離した。

「…ごめん、杏寿郎…っ。
 私、どうしていいかっ、分からない…っ」

それだけふみのは言うと
自室へと駆けていった。

「ふみの…っ!」

杏寿郎は追いかけようとしたが、
掛ける言葉が思いつかなかった。

千寿郎も泣きそうに
杏寿郎を見ていた。

「兄上…っ、すみません、
 俺、何もできなくて…」

「千寿郎は何も悪くない。
 これは、誰の所為でもないんだ。
 …ふみののところへ行ってくる」

杏寿郎は千寿郎の頭を優しく撫でると
ふみのの部屋へと向かった。

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