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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第14章 炎柱、そして迫る影




杏寿郎が蜜璃へ稽古を付け始めて
半年が経っていた。

蜜璃は持ち前の体力と柔軟性に長けた身体能力で
日に日に剣の腕を上げていった。

杏寿郎もその成長ぶりに大層驚き、
蜜璃に最終選別へと向かってはどうかと
話を持ちかけていた。

蜜璃は泣きながら喜び、
次に行われる最終選別に向けて
更に鍛錬を積み重ねた。





蜜璃が最終選別へ向かう朝、
自宅から煉獄家に寄ってくれた。

ふみの達は、涙を必死に堪える蜜璃を
何度も抱きしめてあげた。

「蜜璃ちゃん、気をつけてね。
 また此処で待ってるからね」

「ひゃい、が、頑張りますぅ…っ」

「もう泣かないで、蜜璃ちゃん!
 笑って?」

「う、うぅ、
 ふみのさあああんっ!」

「甘露寺!そんなに泣くと
 体力を消耗してしまうぞ!」

ぐすぐすと泣く蜜璃の涙を
ふみのは拭いてあげた。

「蜜璃ちゃんはここまで
 こんなにも頑張ってきたんだもの。
 自分を一番に信じてあげてね?」

「そうだ、一番の味方は自分自身だ!
 甘露寺ならやり遂げられる!」

「蜜璃さん!俺も蜜璃さんのお帰りを
 お待ちしております…!」

「師範、ふみのさん、千寿郎くん…っ。
 ありがとうございます…っ。
 甘露寺蜜璃、行って参りますっ!!」


蜜璃は笑顔で、大きく手を振っていた。

ふみの達も
蜜璃が見えなくなるまで
手を振り続けた。

ふみのはその蜜璃の姿を
当時の自分と重ねていた。

(蜜璃ちゃんなら、きっと大丈夫)

ふみのはそう確信していた。



蜜璃を送り終え、
ふみの達が家に入ろうとすると
槇寿郎が玄関から出てきた。

「父上…!!」

槇寿郎は、杏寿郎の呼びかけに見向きもせず、
門の方へと向かっていく。

それでも杏寿郎は、
槇寿郎に声を掛け続けた。

「父上!何方に行かれ…」

「煩い!!お前には関係ない!!」

槇寿郎の声が庭に響く。

ふみのは気付くと
自分の手を硬く握りしめていた。

「…槇寿郎様!!!
 そんな言い方は
 あんまりではないですか…っ!?」

槇寿郎のその態度に、
思わずふみのは声を荒げた。

「ふみの…っ」

杏寿郎と千寿郎は
ふみのの様子に驚いていた。

槇寿郎はその場で足を止めた。

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