火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第13章 片想い − 恋咲く −
「あの二人、
とても楽しそうですねえ」
ゐとは、奥の部屋から
穏やかな眼差しで二人を見つめていた。
「こらこら、ゐと。
覗き見は良くないぞ」
「はい、そうですね。ごめんなさい。
蓮ちゃんがあまりにも
嬉しそうに笑っているので、つい…!」
そういう欣善も
ちらりと蓮達を見ていた。
「…蓮、よく笑うようになったな」
「ええ、来た頃は随分と
強ばっていましたが…。
あんなにも可愛いらしい
女の子になったのですねえ」
「…確かに、そうだったな」
「蓮ちゃんが
いつか嫁ぐなんてことになったら
私、どうしましょう…」
「…それはいかん。まずいな」
「ふふ、欣善さん、
お顔が必死ですよ?」
「当たり前だ。
もう蓮は、私たちの娘同然だからな」
「本当に、そうですね。
…今は、一緒に過ごせる
この時間を大切に、
過ごして参りましょうね、欣善さん」
「ああ、そうだな、ゐと」
欣善はゐとの肩にそっと手を回した。
「水柱様、蓮ちゃん?」
「ゐとさん!」「!」
「水柱様、
本日はもうお帰りになられますか?」
「…鮭を買いに行くだけです」
「そうしましたら、
うちにも丁度鮭がありますので
お好きな鮭料理をお作り致します。
是非召し上がりになって下さいませ」
「……」
「義勇さんは、鮭大根が好きなんですって!
義勇さん!ゐとさんの料理は
すっごく美味しいんですっ!」
「……」
「義勇さん、せっかくだ!
蓮が世話になりっぱなしだからなあ。
是非食べていきなさい」
「………では…」
三人に押されるように
義勇はゐとと蓮が作った
鮭大根を食べた。
鮭大根を食べ、笑顔になる義勇に
三人は釘付けになった。
「まあ、笑ったお顔は
もっと素敵ですねえ」
「随分と美味しそうに
食べるな、義勇さん」
義勇はぱくぱくと箸を進めた。
「義勇さん、
めちゃくちゃ笑ってるじゃないですか…っ」
「……そんなに見るな…」
義勇は嬉しそうに鮭大根を平らげ、
蓮達に深々と頭を下げて、帰っていった。
「師匠、あたし、
義勇さんにも稽古を
付けてもらえることになったんです」
「そうか!それは良かったな!」
「はい!これからもっと頑張ります!」
「きっと蓮なら強くなれる。
大丈夫だ」