火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第13章 片想い − 恋咲く −
ふと、義勇の口元が笑ったように
蓮には見えた。
義勇さんって
あんなふうに笑うんだ…
蓮は、その笑顔を
ずっと見ていたいと
思ってしまった。
またいつもの表情に戻る義勇を
蓮はそっと見つめていた。
「…でもっ、あたし、
会って話してみたいって思っていたので
こうやって、お会いできて嬉しかったです!」
「…俺と…?」
「え、そうです!
あたし、義勇さんのこと
知りたかったですし!」
知りたい…俺の事を…?
…それにしても、
よく話す子だな…
そう義勇は思った。
「…あたしも義勇さんと同じ水の呼吸です。
継子…が難しければ、稽古だけでも
つけてもらうことは、できませんか…?」
「……」
「義勇さんみたく、
自分独自の型を使いこなせるように
なりたいんです」
「……」
「駄目、ですか…?」
蓮の大きな黒目が
じっと義勇を見つめる。
「……稽古だけなら、
見てやってもいい」
「!えっ!本当ですかっ!?
ありがとうございます!!
すっごい嬉しいですっ!」
蓮の満面の笑みに
義勇は不意打ちをつかれたように
どきりと胸が鳴った。
木の枝に留まっていた月光も
カア!と嬉しそうに鳴いた。
笑顔で喜ぶ蓮は、やったよー!と
月光に声をかけていた。
義勇はすっと立ち上がる。
「…稽古が出来る時、鎹鴉を飛ばす。
任務が無ければ、俺の家に来い」
「はいっ!分かりました!
ありがとうございます!
あたし、義勇さんみたく強い隊士になれるよう、
頑張りますっ!」
きらきらと目を輝かせている蓮に
思わず義勇は、口を開く。
「…本当に、良く話すな」
「あはは!
それ、良く言われますっ!」
義勇さんって口下手だけど
慣れると色々話してくれる人なのかな
義勇さんのいろんなこと、知れたら、いいな
少しずつではあるが
自分と目を合わせて話してくれる義勇に
ゆっくりと胸がときめいていくのを感じた。
義勇もまた、自分の中で
少しずつ何かが、変わり始めたことに気付く。
この感情は…
自分の中で冷えていた部分が
解れていくよう、な
義勇も慣れない感情に
思わず口元を隠す。
ゆっくりと動き出した
二人の時間
蓮の心に
恋の花が
咲き開く─────