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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第13章 片想い − 恋咲く −





 ・・・気まずい



蓮は玉結びをし、
釦を取り付け終えた。

「義勇さん、お待たせしました。
 こんな感じで、いいでしょうか…?」

「……」

義勇は出来上がった隊服を
まじまじと見る。


 …え、なんか、マズかったかな?!
 その無言は何…っ!?


「礼を言う」

「…よ、良かったです…。
 本当にすみませんでした…」

蓮はほっと胸を撫で下ろし、
もう一度義勇に頭を下げた。


義勇は隊服を着て
羽織を纏う。

「本当、お時間取らせてしまって
 すみませんでした。
 ご予定、大丈夫ですか?」

「…ああ」

「…何方に行かれる予定だったんですか?
 あっ、差し支えなけれ」

「…鮭を、買いに」

「え?お酒?
 義勇さん、お酒お好きなんですか?」

「違う、魚の鮭だ」

「…!えっ!義勇さんも鮭、お好きなんですかっ?!
 びっくり!あたしも好きなんです!鮭!
 特に甘酢あんかけが好きで、この間も同期の子に…」

蓮は自分ばかり話していることに気付き、はっとする。
その様子を義勇がじっと見ていた。

「すみません、あたしばっかり話してて…」

「…いや」

「義勇さんは、どんな鮭料理がお好きなんですか?」

「…鮭大根」

「へ〜!鮭大根かあっ!
 まさか義勇さんも鮭好きなんて思わなかった!」

「…何故、呼ぶ」

「はい?」

「何故、下の名で呼ぶ」

「ああっす、すみません…っ。
 嫌…でしたか…?」

「いや、気になっただけだ」

「…嬉しくないですか?
 名前を、呼んでもらえるのって」

蓮は落とすように微笑む。


その蓮の笑みに
義勇の心が揺さぶられる。


蓮と義勇の間を
軽やかな風が舞っていく。

庭の木々がわさわさと揺れる。





『義勇?どこにいるの?
 義勇?
 あ、見ーつけた!
 お夕飯の時間よ?
 今日は母様が義勇の大好きな
 鮭大根を作ってくださってるわ!』

『つたこねえさんもすき?しゃけだいこん』

『ええ、だいすきよ!』

『ぼくのことは?すき?』

『もちろん大好きよ!』

『ぼくもつたこねえさんがだいすき!』

『うんっ!さ、お家に帰りましょう』





「…義勇さん?
 どうかされましたか?」

「…そうだな」

「???
 もう〜〜義勇さん、何考えてるか
 全然分かんないですよ〜…」

「そうか」
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