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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第13章 片想い − 恋咲く −



「冨岡義勇さんです。
 俺も初めて、お会いしました…。
 流石、水柱様って感じですね…」



 水柱の、冨岡 義勇…
 


彼の瞳が

彼の声が


今もはっきりと
この目に、耳に残っている。

まだ感じたこともない感情が
蓮の中にゆっくりと波打ち始めていた。



その日は、義勇の助けもあり、
負傷者も少なく無事に任務を終えた。


 もし、あの時、冨岡さんが来てくれなかったら
 あたしも殺されていただろうし
 皆も、どうなっていたか…


考えるだけで
蓮は背筋が凍りついた。


 こんなんじゃ駄目だ…
 もっと強くなりたい

 ちゃんと冨岡さんにもお礼を言おう


帰宅した蓮は任務で出会った義勇のことを
欣善に話した。

「ほお、拾壱ノ型を。
 そういえば、左近次が以前便りで
 水の呼吸で新しい型を生み出した者がいると
 言っていたな」

「…じゃあ、それって…」

「その彼のことかもしれないな」

「…すごい、新しい型を、一人で…」

「蓮も、この間の稽古で見せた型は
 独自のものじゃないか」

「師匠、あれは元々あった型に
 手を加えただけです。
 新しい型じゃないです…」

「そうか?私はそうは思わんが。
 蓮の魂が込められた、蓮にしか出せない型だ。
 きっと蓮の力になってくれる」

「…はい、もっと自分のものに出来るよう
 鍛錬を重ねます」

「何事も日々修行だな」

にこりと笑う欣善に
蓮は元気を取り戻した。


 あの冨岡さんの瞳…
 
 嘗ての自分の目を、
 見てるような、気がした

 何処か淋しげで、
 自分を責め、許していないような

 つめたい水の、底みたいな瞳…

 冨岡さんって…
 どんな人なのかな


頭の中では、義勇のことばかり
考えてしまっている蓮だったが
蓮本人はそれに全く気付いていない。


蓮の心に
少しずつ

淡い恋の芽が
咲き始めていた─────







それから数日後、
蓮は欣善と稽古を重ね、
参ノ型を極めていた。

するとそこへ
月光が舞い降りてきた。

「蓮!近クニ、水柱ヲ発見!!」

「え?ほんと…?」

「今ナラ、マダ間ニ合ウ!」

「師匠!すみません、
 ちょっと稽古を抜けてもいいですか!?」

「あ、ああ、構わんが…」

「ありがとうございます!!」

蓮は、気が付くと駆け出していた。

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