火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第13章 片想い − 恋咲く −
『こちらこそ、蓮ちゃんがいてくれて
私達も毎日楽しくて…!』
『あたし、大叔母さんのお料理の
お手伝いもできるようになったの!
今日はあたしがお兄ちゃんに
ご馳走を作るね!』
『それは楽しみだ!蓮、ありがとう!』
『うん!』
ああ、そうだ
お兄ちゃんに会えたのは
これが最後だったんだ…
『…蓮ちゃん…っ!
よく、落ち着いて、聞いてね…っ』
『大叔母さん?ど、どうしたの??』
『か、一彰くんが……っ。
一彰くん、が…っ』
『!?
お兄ちゃんが、どうかしたのっ?!』
『……っ』
『ねえ!!大叔母さん!!答えてよ!!』
『…一彰くんが、
…昨日…亡くなったって……っ』
『…え…?
どういう こと…?』
『…誰かに殺さ…』
『嘘…嘘よ…!!!
それは本当にお兄ちゃんなのっ!?
そんな…っそんなはずない!!!』
『…私も今、電報を見て、目を疑ったわ…っ。
でも一彰くんの着物に、
蓮ちゃんへの手紙が…、
入っていたそうなの…。
それで、一彰くんって、分かったって…っ』
『…そんな…、信じない…。
お兄ちゃんに会うまで、あたしは信じない…っ』
『恐ろしいねえ』
『え?鬼に殺された?
鬼なんて、本当にいるのかい?』
『隣のご主人が一度見たことあるって…』
『一彰くんの、背中の大きな爪痕を見ただろ?
あれは鬼に間違いねえ』
『本当に、いるんだねえ…』
『隣町の女の子も
道端で殺されていたらしいわよ…。
同じように背中に傷跡があったって…』
『物騒な世の中だよ、本当に』
『あの妹さん、これから
…大丈夫かねえ』
『…お兄ちゃん…』
『蓮ちゃん、一彰くんとのお別れは悲しいが
空の上でまた必ず会えるよ。
だからそれまで…』
『…して』
『…?』
『…どうして、あたしばっかり…』
『…蓮ちゃん?』
『…っ、どうして…どうしてあたしばっかり
こんな思いしなきゃならないの!!!!!』
『蓮ちゃん、落ち着い…』
『ねえ!!どうして!?
なんでっどうしてっ、あたしばっかり
悲しい思いをしなくちゃ、いけないのっ!!??』
『蓮ちゃん…っ』
『もう、嫌…っ生きていたくない…っ!!
あたしも、お兄ちゃんのところに、いく…っ』