火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第13章 片想い − 恋咲く −
(…びっくり、した…っ)
蓮は何が起こったのか
理解できていない様子だった。
どっと、体が重くなったのを感じた。
「これは見事だな…!
独自の型を編み出したのか!」
「は…はい、でも、体が
鉛のように 重くて…っ」
「それだけ魂が籠った型ということだ。
今日はもう終わりにしよう。
ゆっくり休みなさい」
「ありがとう ございます…」
蓮はゐとが用意してくれた冷たい水を飲みながら
縁側に座って体を休めていた。
「蓮ちゃん、さっきの型、
すごく綺麗ねえ。初めて見たわ」
「あたしも自分で出した型なのに
全然良く分かってなくて…」
「芬木?という言葉は、何処かで
見たことのある言葉だったの?」
「この家の古書を置いてる
部屋にあった本に書いてあったんです。
植物の本、だったかな…。
難しくて全然内容が頭に入ってこなかったけど
なんか、好きな言葉だなって」
「そうだったの。
本当に綺麗でうっとりしちゃったわ。
蓮ちゃん、素敵な型を見つけたわねえ」
ゐとは、蓮のことをいつも褒めてくれた。
ぽんぽんと蓮の頭を撫でる姿は
まるで本当の“母”のようだった。
ゐと自身、隊士ではなかったものの
呼吸のことや鬼殺隊のことは
欣善を通して色々と詳しかった。
「今日はもうお部屋で休んだら?
また任務の伝達があるかもしれないし…。
お昼の支度ができたら
また声をかけるわね」
「はい、そうします。
ゐとさん、いつもありがとう」
蓮は、ゐとの笑顔が
くすぐったく感じた。
なんか…嬉しい
これが“お母さん”から感じる
愛情みたいな、ものなのかな
ふみのからも時々
似た雰囲気、感じるんだよなあ
『蓮〜!もし良かったらお夕飯食べていかない?
蓮の好きな鮭の甘酢あんかけを作ろうと思ってて!』
『えっ!?ほんとに!?』
『うん!今日は蓮が来ることになってたから、
朝、千寿郎くんと鮭を買いに行ってきたの!
あ、でもゐとさん、もうお夕飯の用意
しちゃってるかな…』
『夕方前だし、
この時間はまだ支度はしてないはず!
月光に伝えてもらうから大丈夫っ!』
『本当?なんだか我儘を言ってごめんね…』