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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第13章 片想い − 恋咲く −



蓮は部屋の棚に飾られた
家族写真に目を向けた。

布団から出て立ち上がり、
蓮は写真立てを手に取った。

唯一、手元に残った一枚の家族写真。

両親の顔はこの写真で
何となく覚え出せるくらいだった。


 …あたしの目って、
 ほんとに“母さん”に似てるのかな

 お兄ちゃんの方が
 似てる気がする


蓮は、小さく溜息を吐くと
隊服に身を整え、部屋を出た。



蓮は、育手でもある
菟田野欣善(うたのきんぜん)の家で暮らしていた。

欣善の妻、ゐと(いと)は
蓮を本当の娘のように可愛がってくれていた。

欣善とゐとの間には子どもはいなかった。

以前まで、欣善の家には、
鬼殺隊を志願する子ども達が
数名ほど暮らしていたが、
今は蓮一人だけだった。

子ども達は、欣善の修行を終えると、
最終選別を受けに藤襲山へと向かった。

そのまま鬼殺隊へ入隊できた者は
元の住まいへと戻っていったが、
悲しくも其処で命を落とす者もいた。

欣善は過去に、鬼殺隊で甲の階級として
鬼を滅していたが、任務で片腕を失い鬼殺隊を退いた。



「はて、これは…」

欣善は、居間の縁側に座り
便りを読んでいた。

「おはようございます。師匠」

「ああ、蓮、おはよう」

蓮は欣善のことを
師匠と呼んでいた。

「…誰からです?」

「以前、蓮に話した、鱗滝左近次という
 同じ育手をしているやつからだ」


 ああ、師匠と同じ時期に
 鬼殺隊に入隊したって人か…


蓮は、ふーんと欣善の後ろ姿を見ながら
朝日が当たる庭に目を向けた。
ゐとが洗濯物を干していた。

「ゐとさん!おはようございます!
 あたしも手伝う!」

「蓮ちゃん、おはよう。
 ありがとう、助かるわ」

「でも欣善さん?珍しいですねえ、
 左近次さんからのお手紙なんて」

「ああ、現在、
 鬼殺隊への志願している少年を
 稽古しているそうだ。
 …どうも変わった妹を連れているらしい…」

「「変わった妹??」」

蓮とゐとが声を揃えて聞く。

「師匠、どういうことです?」

「詳しくは書かれていないが
 左近次自身も初めてのことで
 驚いているらしい。
 もし、選別を突破できれば
 蓮もいつか会うことがあるかもしれない」

「そう…ですね。
 その子も、突破できるといいな…」

「そうだな。それを祈ろう」

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