火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第2章 一族の破滅
ふみの達は、女中に連れられて
屋敷の外に急足で向かった。
ふみのの体は熱でさらに鉛のように重くなった。
分家の方からは、叫び声が聞こえてくる。
(とおさまとかあさまもそこにいるのでは…っ)
ふみのは気が気でなかった。
すると背後の部屋からゴオッと大きな火の手が上がった。
屋敷が少しずつ、燃え始めていた。
ふみのは目を見開いてその光景を見た。
屋敷中が焦げ臭くなっていく。
「…どうして、こんなことが…」
ふみのの意識は、
熱なのか、今の状況に愕然としているからなのか、
遠のいていった。
その時ふと健蔵との約束を思い出した。
『もちろんです。私はとうさまとかあさま、よしのと健一郎、
一族全ての人達を、守っていきたいです。
一緒に頑張ります』
(…そうだ、とうさまと約束した。絶対にみんなを守る)
「ふみのお嬢様!!早く!!」
最後の力を振り絞り一生懸命に走る。
よしのと健一郎の手を取り、目眩がしつつも
前を向いて走った。
ドンッガラガラッ
その時、天井が大きな音を立てて崩れた。
咄嗟によしのと健一郎を
瓦礫から庇うように覆い被さった。
瓦礫の落ちる音が収まるとそこには
黒い影の人の姿があった。
…いや、人ではなかった。
…鬼だった。
目の色は血のように赤く、
手の爪は鋭く伸びていた。
その姿に女中とふみの達はびくびくと震え出した。
(…これが鬼なの………?!)
開いた天井からの月明かりによって
牙が見え、にやりと鬼は笑った。
恐る恐るその鬼の顔を見る。
そして鬼の顔を見て、ぎょっとした。
分家の長男、徳廣だったのだ。