火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第2章 一族の破滅
騒ぎ声や叫び声に、
ふみのは目を開けた。
(…何事だろう…)
ふみのは夢なのか現実なのか分からず、
熱で上手く動けない重い体を動かした。
ゆっくりと起き上がると、
部屋は暗く、少し離れたところによしのと健一郎が寝ていた。
風邪をうつさないよう、みちが少し離れたところに
よしのと健一郎を布団を敷いていた。
「……かあさま…?」
呼んだが、返事はない。
どこへ行ったのだろう。
立ち上がろうとするが、
熱で体が言うことを効かない。
外が騒々しく、何か只事ではないことを感じたふみのは
よしのと健一郎を起こした。
「…よしの!健一郎!起きて、起きて!
かあさまがいないの!」
頭がぼうっとする。
薬のせいもあるのか、視界がぐらぐらする。
「…ん、ふみのねえさま…?」
まだ半分寝ぼけているよしのと健一郎を無理矢理起こし、
状況を伝える。
「かあさまがいないの!どこへ行ったか分かる?!」
「…分からない、子守唄を歌ってくれて寝ちゃったから…」
(本当に、どこに行ってしまったのだろう)
その時、いつも面倒を見てくれていた女中が
勢いよく襖を開けた。
「お嬢様!!おぼっちゃま!!
早く逃げて!屋敷の外へ!!」
「何?何が起こったの?!」
混乱する三人だが、女中の様子から
かなり良くない状況ということが分かった。
「かあさまは!?かあさまがいないの!!」
熱に目眩がしつつも、ふみのは女中に聞いた。
「…奥様は…っ。
屋敷にお戻りになり分家へと向かった健蔵様の様子を
見に行くとおしゃってから戻られておらず…っ」
ふみのはひやっとした。
(何か、とうさまとかあさまに起こったんじゃ…っ)
「でもなんで屋敷の外に?!」
女中は、怯えていた。
「屋敷内に、鬼が…出たのです…っ」