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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第12章 片想い



太陽が雲に隠れて
辺りはうっすらと暗くなった。



恋は天気みたいだ



雲一つない晴れ渡る日のように
もう言葉にはできないような
舞い上がる気持ちになる時もあれば

行き場のない感情が心を彷徨い
暗い空から降る雨粒のように
心を酷く淋しくさせることもある

相手の心情も見えず
自分の気持ちすらも
分からなくなっていく

道に迷った幼子のように
泣きたくなる日もあって

物哀しくなる気持ちに蝕まれ
もういっそのこと
この想う気持ちを
無かったことにまでしたいと思ってしまう


でも

雲の隙間から
太陽が顔を覗かせるように

貴方の笑顔は

私を
ときめかせてくれる


好きだという気持ちを
抑えられなくなる


これからもずっと

貴方を好きだと

思わずにはいられなくなる─────



杏寿郎に

早く会いたい

またこの縁側で
たわいも無い話をしながら
杏寿郎の、笑った顔が見たい






「ふみのー!
 ほら早く!一緒にやろー!」

ふみのは蓮に呼ばれて、はっと我に返った。

「ああごめん!今行くね!」

ふみのは木刀を片手に持ち、
蓮と蜜璃の元へと駆け寄っていく。



ふみのは、まだ会ったことのない
“冨岡義勇”がどんな人なのかも
何となく気になっていた。

ふみのと義勇が出会うのは
もう少し先の話になりそうだ。


三人の頭上にある雲の隙間からは
太陽が光を放ち、再び地面を照りつけていた。










その頃、蝶屋敷にて。

アオイが杏寿郎の点滴の残量確認をしていた。

「神崎少女!
 この点滴の滴下を早めることはできないのか!」

「できませんよ!
 ちゃんと時間を決めて行っているのですから!!」

「むう、そうか…」

(早く家に帰って、
 ふみのと話しをしたいのだが…)

杏寿郎もまた、
ふみのへと想う気持ちを馳せていた。

(休養とは、
 こんなにも時間が経つのが遅かっただろうか…)

杏寿郎も部屋の窓から入る風と
晴れ渡る清々しい空を見つめる。




それぞれの場所で
二人の同じ想いは

たわやかな風と共に
高く舞い上がっていく。




ふみの─────


杏寿郎─────




そっと吹いた風が
ふみのと杏寿郎の頬を
やさしく撫でていった。

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