火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第12章 片想い
ふみのは蝶屋敷を出る前に
しのぶにもう一度礼を伝えた。
「しのぶさん、本当に色々とありがとうございました。
お見苦しいところもお見せしてしまい
すみませんでした…」
「いいえ…。私の判断が誤ってしまい、
煉獄さんにもふみのさん達にも
ご心労をおかけして、
申し訳ありませんでした。
煉獄さんのことは責任を持って
しっかり診させていただきます」
「そんな…!
しのぶさんには本当に感謝しています。
いつもありがとうございます。また、伺います」
「私もふみのさんの笑顔に救われています。
またお会いできるのを楽しみにしていますね」
しのぶの笑顔に
ふみのも癒されていくのを感じた。
「はいっ!では失礼します」
ふみのはしのぶへ深く頭を下げた。
蝶屋敷を出て煉獄家に戻り、
蜜璃との稽古は翌日から再開することにした。
その晩。
ふみのは自室の縁側に座り、
杲と星を見ていた。
ふみのは杲を膝の上に乗せて
背中を撫でてあげた。
「ふみの!
今日ハ、モウ寝タ方ガ良イ!」
「そうだね、そうさせてもらおうかな。
杲さん、いつもありがとうね」
杲は小さくカアと鳴いて、
頭をふみのの手に擦り寄せた。
(杏寿郎が元気になってくれて
本当に良かった…。
お見舞いに蜜璃ちゃんに教えてもらった
さつまいもの洋菓子を作っていこうかな…!)
ふみのはほっと胸を撫で下ろし
その日は早めに床に就いた。
翌朝、稽古に来た蜜璃と庭で打ち合いをしていると
蓮が煉獄家にひょっこり現れた。
千寿郎は買い出しへと出かけていた。
「ええ!?杏寿郎くん、大丈夫なの!?」
ふみのと蓮は縁側で
一昨日の杏寿郎の出来事を話していた。
蓮は杏寿郎に稽古を申し込もうと来たのだった。
そしてこの時、蜜璃とも初対面だった。
「もう回復はしていて元気なんだけど、
念の為もう少し診てもらうことになったの」
「そっか…、なら良いんだけど。
杏寿郎くんも無理するとこ、あるからなあ」
すると蜜璃が台所から
湯呑みと茶菓子を持ってきてくれた。
「あ、あのっ!お茶をお持ちしました!」
「ありがとう!蜜璃ちゃん」
蜜璃は、ふみのと蓮に湯呑みを手渡す。