火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第12章 片想い
「いや!もう大丈夫だろう!
体調も何ともない!熱も下がったしな!」
杏寿郎はしのぶの提案を
笑顔で堂々と振り切った、が。
「……。
煉獄さん、ふみのさんを泣かせたら
次は許しませんからね?」
しのぶから、
ただならぬ雰囲気が流れていたのを
その場の皆が感じ取った。
しのぶの言葉に杏寿郎も
思わず固まってしまう。
「ね、ねえ、杏寿郎?
しのぶんさんも言われている通り、
もう少しだけ経過をみた方がいいと思うの…。
休養も兼ねて少しゆっくりしたら、どうかしら」
「兄上!ふみのお姉様の言う通りです…!
もう少しだけここで治療を受けてください。
俺も心配です…」
杏寿郎もふみのと千寿郎の言葉に
これ以上何も言えなくなった。
「…うむ、承知した!
手を煩わせて申し訳ない!」
「そうしたらまた点滴を開始しますね。
ふみのさんも今日はご自宅で
ゆっくりお休みになってください」
「はい!分かりました」
点滴の用意をしてきますと、
しのぶとアオイは部屋を後にした。
「甘露寺、俺自身のことで申し訳ないが
復帰できるまで稽古は一時中断しても良いだろうか」
「もちろんです!師範の体調が一番ですので!」
「蜜璃ちゃん、
その間は私と一緒に稽古をしましょうね!」
「はいっ!あ、でも、ふみのさんも
ご無理はされないでくださいね…っ」
「うん!ありがとう」
「ふみの、甘露寺が言うように
無理だけはするな。
俺のことで色々と迷惑をかけてすまなかった」
「ううん!杏寿郎が元気になってくれて
本当に良かったわ。
着替えを持って、またお見舞いにくるからね」
「ああ、面倒を掛けてすまない」
「兄上はご自身のことだけ
考えていただければ大丈夫ですよ!
気にされないでください!」
「うむ、これを機に
しっかり休養することとする!」
杏寿郎はしのぶに点滴を交換してもらい
ふみの達は家に帰ることになった。