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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第12章 片想い



「千寿郎くん!」

千寿郎は物干し竿に背伸びをしながら
布団を干していた。

ふみのは駆け寄り、
二人で布団を竿に掛けた。

「ありがとうございます!
 でもふみのお姉様、
 任務後ですし、ゆっくりしていてくださいね」

千寿郎は申し訳なさそうにふみのを見る。

「ううん!大丈夫よ!
 …何となく、杏寿郎も戻ってきそうな気がするの。
 千寿郎くん、
 いつも家事を任せっきりにしちゃってごめんね。
 少しでも、何か手伝いたくて…」

「いいえ!そんなふうに思わないでください。
 自分の出来ることをやっていきたいんです…!
 それにふみのお姉様が
 無事に戻って来られるだけで
 本当に、嬉しいんです!」


あたたかい日差しと共に吹く風が
二人の間を掠め、洗濯物をふわりとたなびかせた。



ふみのは湯浴みを済ませた。

久しぶりにゆったりとした時間が流れ、
ふみのは千寿郎と縁側で茶菓子を食べていた。

時々、千寿郎が海の話を聞きたいと
ふみのに尋ねてくることがあった。

書店で少しずつ海に関する本を
集めていたふみのだったが
時間が取れずにほとんど読めていなかった。

その本を持ってきて
千寿郎と一緒に読んでいた。

ふと、千寿郎の姿が健一郎と重なり、
ふみのは目を細めた。

「海にはこんなにも
 沢山の種類の生き物がいるのですね!
 知りませんでした…!」

「本当ね!きっとまだ見つかっていない生き物も
 いるんじゃないかしら…!
 一番最初に、その生き物を見つけたら
 自分がつけたい名前をつけられるのよ」

「へえ!そうなのですか!
 何がいいかな…」

うーんと顎に手を当てて
真剣に考える千寿郎の様子が可愛らしかった。



ガラガラッ

玄関で戸が開く音が聞こえた。

「「 ! 」」

「杏寿郎かな…?!」

二人は目を合わせて、
駆け足で玄関に向かった。


「!!!」

玄関に向かうと杏寿郎がいたが
顔色が真っ青だった。

「杏寿郎!?」

ふみのが駆け寄ると、
杏寿郎はその場に崩れ落ちてしまった。

「杏寿郎!!しっかり!!」

杏寿郎を抱き抱えると、
額からは汗が吹き出しており
体は酷く熱かった。

呼吸も荒く、
苦しそうに息を吐いていた。

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