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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第12章 片想い



ふみのは家に向かっていると
千寿郎が門の前で箒を掃いていた。

「千寿郎くん!」

千寿郎はふみのの声にはっと顔を上げ、
ふみのの姿を見て、嬉しそうに駆けてきた。

「ふみのお姉様!
 お帰りなさい!お怪我はありませんか?」

「うん、大丈夫よ!
 心配してくれてありがとうね」

ふみのは千寿郎の頭をふんわりと撫でた。

「杏寿郎は、家にいる?」

「それが、ふみのお姉様が出られた後、
 兄上も任務に出かけてしまいました…」

「…そう。
 今回も、遠方の任務なのかしら…」

「いえ、場所はそんなに遠くはないと
 言っていました。
 …連日に渡って任務が続いているので
 心配ではありますが…」

此処の所、杏寿郎は家にいる時間よりも
外にいる時間の方が長くなっていた。

怪我はほとんどしてはいなかったが、
杏寿郎の体調をふみの達は心配していた。

千寿郎の箒を握る手に力が入る。

「杏寿郎には、
 少しゆっくりしてもらいましょう。
 稽古も暫くは控えた方がいいかもしれない…」

「そうですね、そうしてもらいましょう。
 湯浴みの用意をしてきます。
 良かったら温まってください!」

「うん、ありがとう」


二人は家に入り、ふみのは杏寿郎の為に
食事の準備をしていた。

家に帰れば、杏寿郎が待っている気がして
ふみのは何となく期待をしてしまっていた。

(…杏寿郎に、会いたいな……)

小さくため息をつき、
ふみのはとんとんとまな板を鳴らす。

ぱたぱたと足音が聞こえ、
千寿郎が台所へ顔を覗かせた。

「ふみのお姉様!
 天気がいいので、布団を干してきます!」

「ありがとう!
 大丈夫?手伝うわ!」

「大丈夫ですよ!
 湯ももう少しで沸きますから!」

にこりと千寿郎は笑い、
庭へと駆けていった。

自分達が留守の間も
千寿郎はひとりで
家のことを守ってくれていると思うと
頭の下がる思いだった。

(一緒に過ごせる時間を大切にしなくちゃ…!)

ふみのは手際良く下拵えを終えて
千寿郎がいる庭に出ていった。

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