火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第11章 煉獄家への継子
「もうそのことは、
気にしなくて大丈夫よ!
全然気にしてないから!」
「いえっ!俺、本当に失礼なことをしたなって…っ、
…本当に、すみませんでした…っ!」
その隊士は深く頭を下げた。
「いいよ!もう本当に気にしないで?
私は大丈夫だから!」
ふみのは何度も顔を上げてもらうよう伝えるが
頑なに体勢を変えなかった。
「俺、今日の任務だって、
結局何も出来なくて…っ。
ふみのさんが出してくれる
指示に動くのに精一杯で、
俺…役立たずで本当に、すみませんでした」
ふみのはその隊士の肩を
ゆっくりと持ち上げて、顔を上げさせた。
「…本條(ほんじょう)くんだったよね?
本当に気にしてないから、大丈夫よ。
…私も的確に指示が出せずに、ごめんなさい。
本條くんに、
無理を言ってしまっていたかもしれない。
でも、本條くんの援護があったから私も鬼を倒せた。
今日はありがとうね」
ゆっくり休んでねと本條に言うと
ふみのは向きを変え、
杲に怪我人についてと任務終了の旨を
本部へ知らせてもらうよう伝えた。
「ふみのさん!!」
本條に呼ばれてふみのは振り返る。
「俺、絶対に、ふみのさんみたいな
鬼殺隊士になります!
光の呼吸、とても…美しかったです!!」
本條は今までふみののことを
どこか冷たい目で見ていたことを後悔していた。
でもふみのの光の呼吸は
本当に存在していたと本條は身にもって感じた。
目の前で放つ光は
隊士達への心にも何かを宿すようだった。
「うん!一緒に頑張ろうねっ!」
ふみのの目をしっかりと見る本條に
ふみのは笑顔を向けて、帰路についた。
空は朝日が昇るのを待ち侘びているかのように
しずかに陽光が差し込み始めていた。