火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第11章 煉獄家への継子
『杏寿郎。
煉獄家は代々続く、
鬼狩りの一族です。
炎柱の雅号は
我らの誇りでもあるのです。
杏寿郎も、父上のような
立派な炎柱を目指しなさい。
心に炎を宿すのです。
悪鬼を燃やし尽くし
人を優しく照らしだす
心に太陽のような炎を宿した
炎柱に
なるのです。
そして
いつか貴方の前に現れる
心から愛する人を
守っていくのです』
瑠火の一つ一つの言葉に
杏寿郎は真剣に耳を傾けた。
『“あいする”…。
それは、
ちちうえとははうえのように、ですか?』
まだ幼さが残る杏寿郎は
あどけない表情で瑠火を見つめた。
瑠火は少し恥ずかしそうに微笑む。
『そうですね。
真実の愛は、
この世の、どんなものよりも
強く、美しいのです。
いつか杏寿郎にも、
分かる時がきますよ』
まだ随分と幼かったのに
今でもはっきりと覚えている母上の声
微笑む母上の顔は
心から幸せそうだった
“愛する”人─────
それはどんな人だろうと
幾度も頭を掠めた
そして
父上のような柱になることを目指し
只管に、背中を追い続けた
そして
ふみのが現れたあの日
共に過ごしていく中で
“愛する”とは
きっと、このことなのだろうと感じた
心がその時を待っていたかのように
俺の中で、徐に優しい旋律を奏で始めた
木陰に吹く
やわらかな風のように
心穏やかに
過ぎていく時間
俺の心を照らす
光のような笑顔
透き通る瞳と
澄んで透る声
俺を呼ぶ声が恋しい
ふみのの全てが愛おしいと
思わずにはいられない
柱になると心に誓い
いつかその時を迎えたら
胸に抱き続けたこの想いを伝えたい
必ず、守り抜くと
これからも
ずっと側で
笑っていて欲しいと
ふみのを
心から
愛おしく、想うと─────