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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第11章 煉獄家への継子



たが、次の瞬間にも
杏寿郎の木刀は蜜璃に襲い掛かる。

(絶対、諦めない…っ!!)

蜜璃は地面についている手にぐっと力を込めて
そのまま宙に浮いている両足で、
杏寿郎の刀を蹴り飛ばす。

「えいっっっ!!!」

蜜璃の足は杏寿郎の刀に当たり、
木刀は持ち手部分から、
バキッと折れてしまった。

「お、折れた…っ!!」

蜜璃はさっと体を起こし、
肩で息を整えた。

「甘露寺!最後の足蹴りは見事だ!!
 柔軟性と瞬発的な速さを兼ね揃えている
 甘露寺ならではの技だな!圧巻だったぞ!」

「し、師範…!ありがとうございますっ!!」

「うむ!今日はここまでにしよう!
 千寿郎が夕餉の支度をしてくれている!
 甘露寺も食べていくといい!」

「えっ!いいんですかっ?!
 嬉しいですっ!ありがとうございます!!」



二人は稽古場を片付けつつ、
漂ってくる夕食の香りに
蜜璃は心躍らせていた。

「千寿郎くんは、何でもできちゃうんですね!
 本当にすごいですっ!」

「ああ!千寿郎は何事においても
 常に一生懸命に取り組む!
 料理も頗る美味い!」

「ふみのさんも
 お料理すごくお上手ですよねっ!
 味付けもとても丁寧で…!
 ちょっとした工夫にいつも驚いています!」

「ふみのが作るものは、いつも優しい味がするな!
 彼女が作るさつまいもの料理は
 俺が今まで食べた中で一等美味い!!」

嬉しそうに言う杏寿郎に
蜜璃にも自然と笑みが溢れる。

「師範は、ふみのさんのことが
 本当に大好きなのですねっ!」

「…っ!!!」

杏寿郎の気持ちは
蜜璃に見事に言い当てられてしまった。

杏寿郎は顔を赤らめ、
さっと口元を手で隠した。

「私、初めて師範とふみのさんを見た時から
 すぐに分かりましたっ!
 お二人は相思相愛なんだなあって!
 …師範、お気持ちは伝えていないのですか??」

「……うむ。
 今はまだ、伝えてはいないが…。
 ……“その時”が来たら、
 話そうと思っている」

「“その時”、ですか??」

「…ああ」



目を瞑ると
今でも鮮明に蘇る。


あの日の
瑠火の言葉が

杏寿郎の心を熱く灯す。



桜が舞い散る
あたたかな春の日差しの中で

心地良い母の声が


杏寿郎の心に響き渡る。

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