• テキストサイズ

火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第11章 煉獄家への継子



翌朝、ふみのは
蓮との待ち合わせ場所にしている
いつもの欅の木の下へ向かった。

木はかなり大きく、その太い幹からは長い間
ずっとそこへ佇んでいたことを感じさせる。

ふみのが向かうと
蓮はもう到着していた。

「蓮!おはよう!
 ごめん、待たせちゃった?」

「おはよ!ううん!あたしも今来たとこ!
 腕はどう?大丈夫そ?」

「うん!お陰様で大分良くなってきたわ!
 心配してくれてありがとう」

「なら良かった!でも無理しないでよっ?」

蓮はぐいっと
ふみのを覗き込むように笑った。

それじゃ行くか!と、蓮とふみのは
一番最初の任務場所へと向かっていった。



蓮が言っていたように
街の草木は萎れており
所によっては枯れ果てていた。

鬼の噂があった所為か、
住人達の多くがこの街を離れてしまい
街中は静かに、がらんとしていた。

僅かに残っている人達が
見受けられるぐらいだった。

「随分と、雰囲気が変わってしまったね…」

ふみのは
変わり果てた風景に愕然とした。

「隣町に、多くの人達が
 大勢引っ越してきたっていうのは
 こういう事か…」

人が少ないからか、
余計に街には覇気がない。

歩いていると、
ふみのはふと、
懐かしい小道に目を向けた。

「ふみの?どうした?」

立ち止まってその小道を見つめるふみのに
蓮は声をかける。

「…蓮、この道を進んでもいい?」

「うん、もちろん」

どこか遠くを見つめるふみのの横顔は
悲しそうだった。

しばらく歩くと
開けた道に出る。

「蓮、この先、もう少し進んでもいいかな」

「…もしかして、
 ふみのが住んでた屋敷に向かってる、とか?」

「…うん。ごめんね、連れ回しちゃって。
 …実は、あの日の夜以来、来れていなかったの」

小道は、ふみのの元いた屋敷の近くに
繋がっていたのだ。

ふみのの肩には力が入り
強張っているようだった。

それは蓮にも伝わっていた。

「気にしなくて大丈夫だから。
 …一緒に、行こう?」

ふみのの手を取って
蓮は歩いてくれた。

道を進んでいくと、枯れた草木で覆われた
大きな空き地が目の前に広がっていた。

よく見ると、
荒れ果てた建物の残骸や瓦礫も転がっていた。


/ 545ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp