火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第11章 煉獄家への継子
そして年月は流れ───
ふみのが鬼殺隊に入隊して
四年が経とうとしていた。
ふみのは日々の任務も行いつつ
杏寿郎とも時間を合わせては、鍛錬を重ね、
剣の精度を上げていった。
杏寿郎は甲まで階級を上げていた。
ふみのも、丙に昇格したばかりだった。
先日の大きな任務の功績が認められ
ふみのは昇格を果たしたのだ。
その鬼はかなり手強かったが
ふみのの的確な判断力により
隊士達全員の命が守られた。
蓮も、その任務に赴いていた。
ふみのと蓮は違う呼吸同士ではあったが
お互いの相性が良く、
また連携が取れた戦闘術により
数多くの鬼を倒してきた。
手強い鬼は、ふみのの最後の一撃で倒せた。
しかし腕に負った傷が酷く、
十針も縫う怪我をしてしまった。
鬼を滅した後、ふみのは隠達によって運ばれ
蟲柱である胡蝶しのぶの私邸にある蝶屋敷にて
治療を受ていた。
今まで何度か手当を受けに蝶屋敷に行ってはいたが
しのぶには会ったのは、この時が初めてだった。
「ふみのさん、痛みますか?」
「いいえ!麻酔が効いているのか
痛みはありません…!
でも地面に頭を打ち付けられて…
後頭部が少々痛みます…」
「分かりました。
この後、そちらも見てみますね。
腕はもう少しで終わりますから」
優しく微笑むしのぶの表情は美しくも
心に何かを抱えているようにも見えた。
(しのぶさんにも、
辛い過去があるのかな…)
ふみのは自分よりも年下の
しのぶを尊敬していた。
きっと剣についても沢山の鍛錬を積み重ね、
医学や勉学にも必死に励んできたのだろうと
ふみのは思った。
「いつか、ふみのさんの光の呼吸、
見せてくださいね」
「はい!ありがとうございます…!
…でも周りからは
聞いたことがない呼吸だって、
恐れられてしまっています…」
ふみのは少し悲しげに笑う。
「…ああ、成る程。だから蓮さん、
他の隊士に、あんなに怒鳴っていたのですね」
察しのいいしのぶは
その状況をすぐに理解してくれた。
「…ええ、そう、なんです…」
光の呼吸を使う隊士は
現在の鬼殺隊の中では
ふみのだけだったこともあり
一部の隊士達からは不気味がられていた。