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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第2章 一族の破滅




翌日、
徳廣が行方不明になったと
一族中で大騒ぎになった。

徳廣が朝食に姿を見せなかったため、
女中が見に行くと、布団の中は空だったらしい。

屋敷中どこを探しても見当たらず、
分家の人たちが取り乱し、本家へと駆け込んできたのだ。

「こちらも総動員で見廻りましたが、
 見当たりませんでした…一体どこへ…」

本家の女中が徳廣の両親に伝えた。
徳廣の母親は顔面蒼白で、心ここに在らずだった。

本家も隈なく探したが、姿はなかった。

「何が一体起こっているんだ」

健蔵も混乱していた。
みちはびくびくと怯えているふみの達を宥めていた。

「もし何か分かればお伝えします。
 私たちも全力で探します」

健蔵も、徳廣の両親と分家の人達に話す。
分家の人たちはぞろぞろと屋敷へ戻って行った。

「…本当にどこへ行ってしまったのかしら…」

みちも心配そうに分家の屋敷の方を見つめた。


健一郎がふみのの裾がくいくいと引っ張った。

「健一郎、どうしたの?」

「…」

「健一郎?」

「…とくひろにいさま、おにに、つかまってしまったの?」

「…え?」

「まえにおばあさまが、わるいことをしたひとは
 おにに、つれていかれてしまうって、きいた」

「…ま、まさか」

確かに以前どこかの街で
鬼によって人間が食い殺されたと
女中がこそこそ話していたのを聞いたことがあった。

ふみのの背中がぞわりとした。

(ま、まさか、本当に鬼に攫われてしまったんじゃ…)

色々考えていると健蔵が言った。

「何か胸騒ぎがする。皆なるべく外出は控えるよう。
 夜は自室から動かず、複数人で過ごすように。
 また近隣の住民にも不審者がいる可能性があることを伝えて欲しい」

健蔵は、一族と近隣住民に周知させるよう指示し
はいと本家の人たちは各持ち場へ戻った。

ふう、と息を付き、健蔵はみちとふみの達を
優しい眼差しで見つめる。

「健蔵様、大丈夫ですか」

みちは少し疲れている健蔵を気遣った。

「ああ、大丈夫だ。私はこの後このことで外に出る。
 側にいれずにすまない。子ども達を頼む。」

「分かりました。大丈夫ですよ。
 子ども達はお任せください。健蔵様もお気をつけて」

健蔵は優しく目を細め、みちの頬を撫でた。

その後三人の可愛い子ども達を抱きしめた。

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