火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第10章 訪問者と贈り物
ふみのと杏寿郎は
日が沈むまで稽古をした。
ふみのは夕食後に報告書を仕上げていた。
今日の場所への調査を、見廻りを含め、
継続を希望していることも記した。
(きっと、何処かに鬼が潜んでいるはず…っ)
ふみのはじっと手元の報告書を見つめた。
じりっと握りしめた拳に力が入る。
自分は鬼殺隊に入ったものの、
何も貢献できていないことに焦りを感じた。
今も、この瞬間にも、鬼は人を襲い、
人々の幸せを奪っている。
そう思うと、苛立ちが込み上げてくる。
ふみのは奥歯を、ぎりっと強く噛み締める。
(私は、絶対に鬼を許さ…)
キンッ
何か、刃物同士が当たるような、
小さく高い音が部屋に響いた。
(何の、音……?)
ふと、刀掛けに立て掛けてある日輪刀を見る。
(日輪刀、からの音……?)
刀は、微塵も動いていないように思う。
でも何となく、日輪刀から聞こえたような気がする。
(気のせいかな……)
ふみのはあまり深く考えず、
手元の報告書に視線を戻した。
側にいた杲に声をかける。
「杲さん、この報告書、
届けてもらえるかしら?」
「承知シタッ!」
「ありがとう!お願いね!」
杲はふみのに頭を撫でてもらうと
夜の空へと飛んでいった。
夜空を見て、ふみのはふぅと息をつく。
(…あっ!!杏寿郎に呼ばれていたんだわ!)
ふみのは、はっと思い出し、
杏寿郎の部屋へと向かおうと立ち上がった。
すると、
とんとんと襖が鳴る。
「ふみの?今いいだろうか!」
「あ!うん!大丈夫よ!!」
がらっと襖を開けて、杏寿郎が入ってくる。
手には少し大きめの箱を抱えていた。
「すまない、俺からふみのの部屋にきてしまった!」
「ううん!私も行くのが遅くなってごめんなさい…っ。
報告書を書いていたら、
こんな時間になってしまって…」
「いや!俺も今日のふみのの任務への参加を
依頼していて、来るのが遅くなってしまった」
「ありがとう、協力してくれて…。
杏寿郎がいてくれて、本当に心強いわ」
「一日でも早く、何か手掛かりを掴みたいからな。
また何か分かったらふみのにも知らせる!」
「うん!ありがとう!
よろしくお願いします」