火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第10章 訪問者と贈り物
ふみのは、蓮が今まで
たくさんの困難を乗り越えて
ここまで生きてきたのだと思った。
幼くして両親を亡くして、
唯一の兄とも離れ離れになってしまい、
生きる希望さえ無くしてしまったであろうに
周りと自分を比べて、
辛くて苦しい時も山ほどあっただろう
きっと、自分をも、たくさん責めてきただろう
蓮は、強い
きっとひとりで、
ここまで、乗り越えてきたのだ
そんな蓮の横顔は、凛として美しかった。
「ねえ、ふみの?
今度さ、よかったらふみのの話も
聞かせてくれない?
好きなこととかもさっ!」
「うん…!私も蓮のこと、もっと聞きたいわ!」
ふみのと蓮は笑い合う。
こんなにも、心が澄んでいて、綺麗な少女を
ふみのは見たことがなかった。
「さ!そろそろお暇しようかな!
なんか居心地良くて長居しちゃった!
…ふみの、色々聞いてくれて、ありがとね」
「ううん!良かったらまた遊びにきてね!」
「もちろん!そのつもりっ!」
悪戯っぽく、にっと笑う蓮は、
きらきらと輝いて見えた。
「杏寿郎くん!千寿郎くん!
今日は突然押しかけてごめんね!
あと、良かったら今度稽古して欲しいっ!」
「ああ!もちろんだ!いつでも来るといい!」
「お待ちしています!蓮さん!」
じゃあまたね!と蓮は手を振って
駆けていった。
「蓮さん、とても良い方ですね!」
「ね!いつもにこにこ笑ってて…。
蓮は…とっても強い人だと思うわ」
「彼女と稽古ができる日が楽しみだ!」
「ほんとね!私ももっと頑張らないと!」
ふみのの意気込む姿は
もうすっかり鬼殺隊士そのものだった。
「私、湯呑みを片付けてくるね!」
「ふみのお姉様!俺がやります!
どうぞ兄上と稽古をしていてください!」
千寿郎は縁側へと戻り、
片付けをしてくれた。
「千寿郎もきっと當間少女に会えて
楽しかったのだろうな!」
「うん、きっとそうね!」
「そうだ、ふみの。
渡したいものがある!
後で時間がある時で構わない。
俺の部屋に来てくれ!」
「…? うん!分かったわ!」
ふみのはなんだろうと思いながら
杏寿郎と稽古を始めた。