火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第10章 訪問者と贈り物
「あの、皆さん、良かったら縁側で
休憩でもしませんか?」
千寿郎は恥ずかしそうに
声をかけてくれた。
「え!いいのっ!?嬉しいっ!」
「では、縁側でお待ちください!
お茶菓子を持っていきます!」
「あたしも手伝うよ!」
蓮と千寿郎は楽しそうに
縁側へと向かっていった。
「あ!私も行くね!」
「いいからいいからっ!
突然お邪魔しちゃったから、
何か手伝わせて!」
蓮は張り切って
千寿郎の後を追いかけていった。
ふみのは蓮の後ろ姿を
嬉しそうに眺めた。
「いい同士ができたな、ふみの」
「うん、選別で鬼に襲われそうになった時、
蓮が助けてくれたの。
明るくて笑顔が素敵で、すぐに仲良くなれて。
蓮の水の呼吸もとても強くて!」
「そうか!水の呼吸の使い手なのか!」
「うん!…蓮を見ていると元気が出てくる」
「彼女はきっと、良い隊士になるな!
…俺もふみのの笑顔に
いつも元気をもらっているが?」
杏寿郎がふみのを覗き込むように微笑みかける。
「……っ!?!? え!あ!そう、なのっ?
そ、それはよかったわっ!え?よかった?!」
ふみのはあたふたしてしまい、
上手く口が回らない。
(し、心臓が…っ、保たない…っ!)
ふみのは思わず顔を背け、
バクバクと鳴る胸を抑える。
「ふみのー!杏寿郎くーん!
お茶の用意できたよー!」
蓮の声が縁側から聞こえてきた。
「は、はーい!」
「さ!休憩にしよう!」
「う、うん…!」
ふみのは杏寿郎からの言葉が頭を巡り、
まだ胸が鳴っていた。
杏寿郎と千寿郎は少し休憩とすると
また庭で稽古を再開していた。
カンカンと、木刀の音が鳴り響く。
「ふみの、杏寿郎くん達、ほんっとにいい人だね!
なんかほっこりしちゃうよ」
「そうなの、二人は本当に仲が良くて!
私はいつも助けてもらってばかりで…」
ふみのは
杏寿郎達を眩しそうに見つめた。
「…あたしさ、小さい頃に両親を亡くして。
親戚中をぐるぐる連れ回されてさ。
こう、なんていうの、
家族のあったかさ?みたいのが
よく分かんなくて。
だから家族がいる皆が、羨ましくて」
蓮の突然の告白に
ふみのは聞き入っていた。