火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第10章 訪問者と贈り物
ふみの達は庄衛を門まで見送った。
ふみのはもう一度庄衛に礼を伝えた。
庄衛は少し嬉しそうに(顔は見えない為、憶測ではあるが)
煉獄家を去って行った。
「ふみのお姉様の日輪刀、
本当にお美しいですね…!」
「ありがとう!刀に負けないように
これからもっと鍛錬しないとね!」
ふみのは日輪刀を見つめる。
「呼吸も日輪刀を使いこなすのも、鍛錬あるのみだ!
今日も素振りから始めるぞ!!」
「「はい!!」」
三人は今日も鍛錬に打ち込むのであった。
日輪刀が届けられた日を境に、
鎹鴉の杲から、任務の知らせが来るようになった。
見廻りも含め、
本格的に鬼殺隊としての任務が始まった。
ふみのの初めての任務先は、
以前住んでいた一ノ宮家の屋敷の近くだった。
最近、頻繁に鬼が目撃されているとのことで、
一晩その周辺を数人の隊士で見廻ることになった。
その隊士の中には蓮もいた。
ふみのと蓮は最終選別以来の再会で
嬉しくもあった。
自分の住んでいた土地に
まだ鬼が出没しているのかと思うと
憎悪が湧いてくるようだった。
しかしその晩は、鬼の姿は一向に現れなかった。
朝日が昇り、何も情報を掴めないまま、
初日の任務を終えた。
帰って報告書を出して、任務は終了となる。
「なんだかなあ、変な感じはしていたのに。
でも鬼の気配はないし…」
蓮は首を傾げる。
「うん、嫌な雰囲気は漂っていたわね…。
きっと、何処かには潜んでいるんだと思う。
早く探し出さないと、また被害が出てしまう」
「だね。もう少し捜索範囲を拡大して
調べてみたいね!何か分かるかもだし!
…確か、ふみのが前に住んでた家の近くなんだよね?」
「…うん、そうなの。
だから早く、何とかしたくて」
ふみのの目の色が変わる。
蓮は、ふみののいつもの透き通る瞳に
何か暗い影が映り込むように見えた。
聞いては良くないことを
言ってしまったと思った。
「…ねえ、ふみのっ?」
蓮は、にっとふみのを見る。
「ん?なに?」
「今日、この後、家に行ってもいいっ?」
「え!?う、うん!大丈夫よ!」
「あ、何かマズいことでもあんの〜?」
蓮はにやにやとふみのを見る。