• テキストサイズ

火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第10章 訪問者と贈り物



ふみのは薬を飲み、
布団に横になった。

「今日はもう休むといい。
 大分疲れも溜まっているはずだ」

「うん、そうさせてもらおうかな…」

穏やかに笑う杏寿郎の顔を見ていたら
瞼がゆっくりと重たくなってきた。

「杏寿郎…ありがとう…」

「…?!」

すうすうとふみのの小さな寝息が聞こえる。

「…ふみの?」

ふみのはもう眠りについてしまったらしい。

杏寿郎は何に対して言われた礼なのか分からなったが、
すやすやと気持ち良さそうに眠るふみのを見て笑みが溢れる。

杏寿郎はふみのの額に乗せた手拭いをそっと取り、
桶に張った水で濡らし、また額に乗せた。

ふみのの白い頬が、いつもより紅潮している。

優しく頬を撫でると、
水で冷えた杏寿郎の手にふみのは頬をすりつける。

「…きょう、じゅろう…」

どきんと杏寿郎の胸が鳴る。

眠るとまだ少し幼さも残っているような
ふみのの寝顔。



ふみのが帰ってきた

一人で、懸命に、最終選別を乗り越えてきたのだ

小さな寝息を立てて眠っているふみの

気付けばこんなにも、逞しく、なっていて



杏寿郎は、ふみのへの愛しさが
どんどん増していることに気付く。



これから、鬼殺隊士として、
危険なことも数多く出てくるだろう

命が危うくなることだって有り得る

でもふみのが俺を信じてくれているように
俺もふみのを信じている

たとえ離れていても
どんな時も

この気持ちは変わることはない



このまま時間が止まってしまえばいいのにと
杏寿郎は何度も思った。



杏寿郎はふみのの額の手拭いを
何度も取り替えた。

その甲斐あって、
ふみのの熱は夜にはすっかり下がっていた。

「杏寿郎、もしかしてずっと手拭いを
 替えてくれていたの…?」

「ああ!早く熱が下がるようにな!」

「本当に、ありがとう…」

「ふみのが元気になってくれたら、
 俺はそれで充分だ!」

杏寿郎はにこりと笑う。

ふみのは杏寿郎が
ずっと側にいてくれたことが嬉しかった。

(そうだ!お礼に何かさつまいもで
 お菓子を作ってみようかな…!)



翌朝、ふみのの体調は
すっかり良くなっていた。
/ 545ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp