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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第10章 訪問者と贈り物



ふみの自身、最終選別を終えたばかりで
なんとなく気持ちが高揚しているのか
熱の辛さはあまり感じていなかった。

背中の痛みも湿布のお陰もあって大分和らいできたが、
寝返りをしようとするとまだ痛みは走った。

(本当に、戻ってきたんだわ…)

ぼんやりと天井を見る。
いつも見ていた景色なのに、こんなにも懐かしく感じる。

縁側から聴こえる草木のそよぐ音が
体に落ちていくようで癒されていく。

熱った頬を掠める風が心地良い。



とんとんと襖が鳴る。

はいと返事をすると
杏寿郎と千寿郎が入ってきた。

「ふみのお姉様、お加減いかがですか?」

「うん、笹川先生に診ていただいて
 大分良くなってきた気がするわ…!」

「それは良かったです!
 お粥を作ったのですが…いかがですか?」

「え!いただきます!嬉しいわ!」

小鍋の蓋を開けると、ふわりと湯気が立ち込め、
真っ白なお粥の上に梅干しが添えられていた。

ふみのは体を起こそうとしたが、
痛みで体に力が入らない。

「…つっ…っ」

「ふみの!」「ふみのお姉様!」

「だ、大丈夫よ!ゆっくり起こせば…」

ふみのは体を起こそうと
もう一度起き上がりかけていると
杏寿郎が隣にきて背中に腕を回し、
やさしく支えてくれた。

「俺にもたれて構わない!」

「え!でも杏寿郎、腕疲れちゃうから…っ」

「なに、これぐらい大した事はない!」

「・・・」

嬉しさと緊張でふみのは固まってしまう。

(また熱が上がってしまう気がする…っ)

またもや、ふみのの心臓はどきどきと高なったが、
杏寿郎に甘えさせてもらい、お粥を食べることができた。

「千寿郎くん、ご馳走様!
 とっても美味しかったわ!」

「いえ!またお夕飯何か食べやすもの、
 お作りしますね!」

「ありがとう、千寿郎くん!」

片付けをしてきますと千寿郎はにこっと笑い、
部屋を出ていった。

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