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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第9章 新しい出会い



「ふみの!!!」

「きょ、杏寿郎…っ!?
 どうして、ここに…っ!?」

「ふみのの鎹鴉が
 ここまで案内してくれたんだ!」

ふみのは空を見上げると
杲が二人の頭上で円を描くように飛んでいた。

「杲さん…!」

(先に飛んでいったのは、
 杏寿郎達に知らせてくれるためだったのかな…!)

ふみのは杲の心遣いに嬉しくなった。

「怪我は大丈夫か!?
 俺が家まで抱き抱えていく!」

「え!?だ、大丈夫よ!!
 ほら、もう立ち上がれるようになったし…」

そう言い掛けている途中で
杏寿郎はふみのを、ふわりと抱き抱えた。


「…!! 杏寿郎…っ!!」


二人の距離がぐっと近くなる。

ふみのは久しぶりに会えた嬉しさと緊張から
杏寿郎の顔をまともに見れなくなってしまった。

「私、湯浴みもしてないし…っ!
 自分で歩いて帰れ…」

「良かった…本当に良かった…!
 無事に帰ってきてくれて…」

ふみのは、杏寿郎の顔をゆっくり見上げると
その瞳は揺らいでいるようにも見えた。

杏寿郎は優しく微笑み、
ふみのを抱き抱える腕に
ぎゅっと力を込めた。


「ずっと、ふみのの帰りを待っていた。
 …お帰り。ふみの」

「……っ!」


ふみのは杏寿郎の
燃えるような紅い瞳をじっと見つめる。



 ああ、ああ、杏寿郎だ

 目の前にいるのは、
 ずっと会いたかった、杏寿郎だ

 たった七日間離れていただけなのに
 こんなにも長い間、
 会っていなかったように感じる

 私は、生きて、帰ってきたんだ…っ



視界が、涙で薄ら滲む。

ふみのは杏寿郎の肩にゆっくりと手を回した。
掌から杏寿郎の体温が、優しくじんわりと伝わってくる。
あんな恐ろしい七日間が嘘のように思えた。


「杏寿郎。只今、戻りました…っ!」

「ああ!一緒に家に帰ろう!」


ふみのと杏寿郎は微笑み合う。

再び会えた喜びを噛み締めながら、
二人は帰路についた。

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