火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第9章 新しい出会い
煉獄家にも、
眩しいくらいの朝日が差し込んでいた。
杏寿郎は既に着替えを済ませ、
門が見える縁側に座っていた。
早すぎるとは思ってたが、
ふみののことが気になり
居ても立っても居られなかった。
千寿郎もいつもより早く起きており、
縁側に座る杏寿郎に声をかける。
「兄上、おはようございます」
「千寿郎!おはよう!
随分と早く目が覚めてしまった」
「俺もです。もう少ししたら
ふみのお姉様を迎えに
門の前に行こうと思っています」
「ああ!そうしよう!」
二人は門の前で
ふみのの帰りを待っていた。
日も大分高くなってきた頃、
煉獄家の真上を一羽の鎹鴉が旋回していた。
「? 兄上、あれは要ですか?」
「…いや、違うな。他の隊士のだろうか」
しばらく見ていると、
その鎹鴉は二人も足元へと舞い降りてきた。
「一ノ宮ふみのノ鎹鴉、杲!
ふみのガ背中ヲ痛メテ動ケナクナッタ!
救助ヲ求ム!」
「「……」」
杏寿郎と千寿郎は杲の言う言葉が
すぐに理解できずに固まってしまった。
「ふみのの鎹鴉…?!
よもや、ふみのは最終選別を突破したのか!!
今どこにいる!?」
「案内スル!」
杲は再び空高く飛び、東の方向に飛んでいった。
「千寿郎!俺はふみのを迎えに行ってくる!!
すぐに手当をできるように医者を呼んでおいてくれ!」
「わ、わかりました!兄上、お気をつけて!」
「うむ!」
杏寿郎は杲の後を追いかけて、
駆け足でふみのの元へと向かった。
(もう痛くて歩けないわ……)
ふみのは道端の石に腰を下ろし
休んでいた。
休み休み歩いていたが、
背中の痛みはどんどん悪化していった。
(これじゃ家に着くのは夕方ね…。
杏寿郎達に心配かけちゃうわ…)
はあとため息をついていると、
遠くから懐かしい声が聞こえてきた。
「───!───!」
(この声…っ!)
ふみのは辺りを見回し、
背中を庇いながら立ち上がる。
(え…!どうして…っ!?)
道の奥から、
杏寿郎がこちらに向かってきたのだ。