火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第9章 新しい出会い
「…そうだな。正にそうだ。
ふみのは何事にも誠心誠意に取り組む。
きっと今も目の前の試練に、
懸命に、闘っているのだろうな」
「はい。きっとそうです」
「俺が信じなくては、ふみのに失礼だな…」
杏寿郎は申し訳無さそうに、
静かに笑みを落とす。
「ふみのお姉様が、言われてました」
「…?」
「兄上が最終選別に行かれた後、
俺が兄上のことが心配だって話したら…、」
『大丈夫よ!きっと杏寿郎は大丈夫!
あんなに強いもの!』
「きっとふみのお姉様もご不安だったと思います。
けれど、心の底から、兄上のことを、
信じているお姿に俺は勇気をもらいました。
信じて、信じ貫く、強さを」
「…そうか…」
その時のふみのの姿を
杏寿郎は目を閉じて想う。
ああ、どんな時も、遠く離れていても
いつもふみのは
俺の傍に、いてくれているのだな
『杏寿郎、ずっと、傍にいるからね』
あの日、瑠火が去ってしまった日の
ふみのの言葉が、
杏寿郎の胸をあたためる。
ふみの
俺もいつも
どんな時も
ふみのの側にいる
これからも
ずっと─────
そして七日後の朝。
朝日が眩しく藤の花を照らしていた。
ふみのは多少の怪我は覆いながらも
最終選別を無事に生き抜いた。
一日目に現れた双子のような少女二人が
最初の場所で出迎えてくれていた。
そこにいたのは
ふみのと蓮の二人だけだった。
(蓮…!無事で良かった…!!
え…でも、残ったのって私達二人だけ…?!)
この最終選別がどれだけ過酷なものだったかを
ふみのは思い知らされた。
「お帰りなさいませ」
「おめでとうございます。
ご無事で何よりです」
「まずは隊服を支給させていただきます。
体の寸法を測り、
その後は階級を刻ませていただきます」
「階級は十段階ございます。
今現在お二人は一番下の癸でございます」
少女二人は交互に説明を進めていく。
「刀は、玉鋼を選んでいただき、
刀鍛冶の方によって造られ、
十日から十五日で出来上がります」
「そして今からは鎹鴉をつけさせていただきます」
すると、空から二羽の鴉が舞い降りできた。