火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第9章 新しい出会い
「う…うん!!
私も蓮って呼んでいいかな?」
「うん!もちろん!
鬼殺隊を目指してて、こんなふうに話せた人
今までいなかったから、すっごい嬉しくて!
皆殺伐としてるし、怖い顔しちゃってさ。
きっとふみのとは、いい同士になれそう!
残りも頑張ろうね!!」
ふみのと蓮は初めて出会ったのにもかかわらず
前から知っていたように、すぐに打ち解けあった。
ふみのは女友達ができたことが
とても嬉しかった。
ふみのと蓮は、
先程の鬼によって亡くなった人達を
なるべく鬼に見つからないように埋葬し
手を合わせた。
「まだ始まったばかりなのに
中々の鬼が出てくるもんだね!驚いた!
流石、最終選別って感じする」
「うん。他の皆も無事だといいんだけど…」
「ね、無事を祈るしかない。
ふみのも気をつけてね!
最終日、絶対会おうね!!」
「うん!!蓮も気をつけて!
また七日目の早朝に!」
二人は別々の方向に駆け出した。
一日目の夜がもうすぐ更けていく。
これがふみのと蓮の
最初の出会いだった。
ふみのは蓮との巡り合わせを
心の底から嬉しく感じた。
二人はこれから先、お互いの存在が
掛け替えのないものへとなっていくのだった。
細い三日月が光る夜だった。
杏寿郎は一人縁側にいた。
(……ふみの…)
杏寿郎はふみのが縫ってくれた
手ぬぐいを握りしめていた。
どうしているだろうか
怪我はしていないだろうか
心細くは、ないだろうか
杏寿郎はふみののことばかり考えていた。
三日月が雲に隠れる。
辺りは更に薄暗くなった。
寝よう思い立ち上がると、
千寿郎が廊下の奥から歩いてきた。
「千寿郎!まだ起きていたのか!」
「はい!なんだか眠れなくて…。
兄上もですか?」
「ああ、まあ…そんなところだな!」
「…ふみのお姉様の、ことですか?」
「! …むぅ、まあ、そうだな」
「俺も心配です。
…でもふみのお姉様はあんなに一生懸命に
兄上の稽古についてきた方です。
きっと大丈夫です。俺はそう、信じています」
杏寿郎は千寿郎が話す一言一言に
心配する気持ちが解されていくのに気付いた。