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七輪と干物と君と【呪術廻戦】

第1章 特技は月刊誌を引きちぎる事です。


「違う、そうじゃなくて」
『違くない。だって、私が着いて行くって言っても着いて行かなかったら結局また同じでしょ?』
「...」
『ほら、嘘でも言って欲しかったって言う癖に着いて行かなければ嫌なんじゃん』
「だって、新婚早々に別居婚とか変だろ。夫婦なんだから妻は夫に寄り添うものじゃないのか?」

コイツ生まれは大正か?
この時代になんで旦那の三歩後ろを歩かなきゃならんのだ。
小さくため息を吐いて、彼の顔を見る。
あんなに好きだった顔が今は大嫌いでこんなに不細工だったっけ?って位に崩れて見える。
きっとこのまま話してても埒あかないし、彼も謝らないだろう。

『もう良いよ。早く帰りな...彼女、心配してるよ』
「いや、でも」
『もう私は分かったからさ、彼女の事、大事にしてあげなよ』
「...わかった」
『家にある荷物送るね』
「いや、大丈夫」
『なんで?必要な物とかあるでしょ?送るよ』
「いや、本当に大丈夫だから」

...あぁ、そっちで新しいものを揃えたのか
だから、古い物は全部捨ててくれって事ね...

「奏音、もし何か困った事とかあればさ俺の事、頼ってくれよ」
『...』
「こうなったのも元は俺が原因だし、彼女も分かってくれてるから」
『...』
「転勤したらなかなかそうもいかないけど、俺は奏音の味方だからさ」
『...ありがとう』

そう言うと彼は嬉しそうに笑ってた。

『じゃあ、早速なんだけどさお願いしたい事があってさ』
「うん、なに?」

私はカバンの中を漁って、1冊の雑誌を出した。
あの時に喜んで買った月刊の結婚情報誌特装版だ。

『これなんだけどさぁっ!!』
そう言って彼の目の前で横に真っ二つに引き裂いた。
彼は私の行動に、ビックリして動けなくなっていた。
引き裂いた雑誌を彼に向かって叩き付けた。

『捨てといて。あと二度と話し掛けないで、じゃあ』

それだけ言って、彼を置いてサッサと歩いて駅まで向かった。
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