第1章 特技は月刊誌を引きちぎる事です。
ムカつく。
なんで、あんな奴らにナメられなきゃいけないの?
ムカつく!ムカつく!!
頭に血が登り過ぎて破裂した。
涙が止まらない。
拭っても後から後から溢れてくる。
こんなんじゃ電車乗れない。少し歩くしかないじゃ...ムカつく。
ムカつきながらまだ流れてくる涙をハンカチで拭いつつヒールをガツガツならしながら歩いてく...歩いてくンだがずっと気になってた。
後ろから悟くんが着いてきてる。...聞いてみるか?
『ねぇ』
「ん?」
『いつまで着いてくるつもり?』
「なにそれ?僕も帰りがコッチなんだけど」
『あ、そうなんだ』
「自意識過剰も程々にしてよね〜」
『ぅぐっ』
「ヤダヤダ〜」と言いながら私の前をサッサと歩いてく悟くん。
コイツ〜黙ってコッチのやり取りを見てたかと思えば後ろから着いてくるし!かと言えば自意識過剰だァ?クソーっ!!!
悟くんの態度に怒っていたら目の前に影が降ってきて、顔を上げると悟くんがニコニコしながらコチラを見ていた。
「怒った?」
『は?』
「ムカついた?男を取られて、あまつさえ男にも取った女にも同情されて、しかも知らない男から自意識過剰呼ばわり...ねぇ?どんな気持ち?」
デリカシーって言葉のない世界で生きてんのか?
あまりの失礼さにプッツン放心状態だが、グッと拳を握って耐えた。
『別に...』
「ん?」
『怒ってもないし悲しくもない。何も思わない』
「そーなの?」
『そうだよ。もう終わった事だし』
「ふーん、あっそ」
『期待に備えられず悪いわね、じゃあ』
「悲しんでるなら慰めてあげようと思ったのに」
慰める?このデリカシーの無い人間が慰める?
『どうやって?』
興味本位で聞いてしまった。
「この前みたいにキスしてセックス」