第2章 しじみ汁は沁みるんだ。
でも、祖父母には本当に感謝してる。
リフォームもしてあるから水周りは快適だし、一人暮らしには勿体ないくらいに広いし一軒家だし...これの良さを知ったら賃貸アパートなんて絶対に住めないわ。
悟くんが買ってくれたおつまみをお皿に広げつつ、改めて祖父母と住まう許可をくれた母に改めて感謝した。
おつまみを持っていくとお茶を飲みながらテレビを操作してる悟くんがあまりにも馴染んでて少しだけ笑みが込み上げた。
『悟くん、お酒要らないの?』
「うん。僕、下戸だから」
『そうなんだ...意外』
お酒飲めると思ったからたくさん籠に入れたのに飲めなかったんだ...
よくよく考えたら財布出さないで好きなだけカゴに入れて買わせて更にはレンタル代にタクシー代まで初めて会う人に出させるって...後で返すにしても私めっちゃ図々しいじゃん。
『さ、悟くん。ごめんね』
「ん?」
『わたし、お財布置いてきちゃったのに色々と出してもらって...明日、財布回収したら返すから連絡先だけ教えて貰っていい?』
「あー、いいよ別に。出させるつもり最初っから無かったし」
『いや、流石に初対面の人にこんなんさせられないよ』
「初対面、って散々に言うけどさ忘れてない?」
レンタルした映画を物色しながら悟くんが言ってくる。
『2回目だよね、記憶無くてつい...ゴメンね』
「ふーん、ほんとに覚えてないんだ」
『あ、うん、気がついたら朝だった。』
ジト目で見てくる悟くんに申し訳なさそうに謝る。
「お酒飲むといつもそうなの?」
『ん?』
「知らない男とホテル行ってヤッてんの?」
オブラートに包まず聞く悟くんにコレはもう確信きたなって思った。
『今まで一度もないよ』
「説得力ねぇ〜(笑)」
『本当にあの日が初めてで...てか、私たちヤりました?』
「ねぇ、観るのこれで良い?」
『え、いや、スタートそれは無いからコッチにして』
「はぁ?それが最初とかセンス無い」
結局、悟くんの返事を聞かずに最初に観る映画論争になりあっという間に夜は更けてた。