第10章 はじめてのおつかい
秀吉「信長様!!夜中に金平糖を召し上がるのはおやめくださいと口を酸っぱくして申し上げているにも関わらず…!」
信長「…貴様が俺の金平糖を横取りするからだ。」
秀吉「横取りではありません!信長様にお渡しすると1度に食べすぎるのでお預かりしているのです!」
信長「…話の分からないやつだ。」
信長様が言ってた『あやつ』って秀吉さんのことだったんだ…。
2人のやり取りをポカンと見ていると、信長様がいきなり私を横抱きにした。
るる「わっ?!」
信長「しっかり捕まっておけ。」
信長様は私を横抱きにしたまま秀吉さんに突っ込んでいく。
秀吉「うおっ?!あ、信長様!!」
間一髪、横に避けた秀吉さんの声が後ろから聞こえてくる。
ドタドタドタッ!!
信長様が廊下を走って行く後ろを秀吉さんが早歩きで追いかけて来る。
秀吉「信長様!!廊下を走ってはいけません!!」
信長様はそのまま天守まで逃げて、あとでこっそり私を部屋まで送ってくださった。
信長様いわくこれがいつものことらしい。
今回はいつもよりもちょっと騒ぎが大きかったみたいで武将たちだけでなく、女中さんたちや兵士たち、ルナまで起きてきた。
今朝秀吉さんに金平糖を没収されたみたいで信長様はずっとご機嫌ななめだったらしい。そこで私に金平糖を買って来て欲しいと頼んだのだ。
でも今思い出すとあの織田信長と豊臣秀吉が夜中に追いかけっこってなんか笑えてきちゃう。しかも追いかけっこの原因が金平糖だなんて…。意外な一面が見れた気がする。
けど私はそんなことよりも唇に信長様の指当てられるわ、いきなり横抱きにされるわで心臓がドキドキしっぱなしでキャパオーバーだった。