第8章 重たいので…
*
「コウさんはあの女性と知り合いなのですか?」
「…知らねぇ。」
「…」(牛丼頬張ってる…。)
「でも結婚しようね、って約束したんでしょ?」
「してねぇ。」
「あるあるですね…どちらかが忘れているってパターン…。」
「…」(結婚…か…いつかこの人も結婚するんだ……。)
そう思うと胸が苦しくなった。
「…」
「…ちょっと、飲み物買ってくる。」
「ダメだ。」
「…すぐそこだよ?コンビニ…。」
「ダメだ。」
「…」(外出ようとするとダメダメって!!)
「じゃあ、私がついていきますよ。それなら問題ないですか?」
「……ん。」
「フフッ…行きましょうか。」
「…」
*
玄関のドアを開けると、さっきいた女性がまだいた。ドアの横でしゃがんでスマホをいじっていた。
「あっ!紘太く……じゃない…。」
「コウさんじゃなくてすみません。」
ニコリと微笑むシュウさん。私は鍵をしめ、歩きだした。
「あの…っ…!」
「…?」
「そ…その…紘太君の彼女さん…ですか…?」
「!…」
「っ…。」
「……いえ、違います。」
「フフッ…。」
私がそう答えた瞬間、シュウさんが笑った。