第7章 不可能
目が覚めて5分ほど経過した時だった。部屋に誰かが入ってきた。顔をあげるのも傷に響くので誰が来たのかわからなかった。
「…目…覚めたか?」
「!…」
顔を覗き込んできたのは紘太さんだった。彼の顔を見るのが…怖い……。
「…」
彼は、椅子をベッドの近くに寄せて座った。
「……シュウに…初めて怒鳴られた。」
「…え…?」
「……出血が多すぎて、このままだと死ぬ。って…。」
「!…」(じゃあ…この傷を治療してくれたのは…シュウさん…。)
「……悪かった…。」
「え…。」
「その……やりすぎた…。」
「っ…やりすぎたなんてレベルじゃないです!!動かなくなっちゃったらどうするんですか!!」
「!…」
「もうやだぁ……こんなことになるなら殺してくれた方がマシです…。紘太さんは私のこと好きなんじゃないんですか!?だったらなんで傷つけたりするんですか!」
ベッドに横になったまま怒鳴った。もうこの体じゃ死んだ方がマシ。だったら言いたいことを全部言ってから死ぬ方が良かった。