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彼が異常ですが怖いので何も言いません。

第7章 不可能


「っ…。」


体が震える…。きっと…どこへ逃げても彼からは逃れられない。



「…」


大人しくエレベーターでフロントに向かった。ドアが開くと、紘太さんとイチさん、シュウさんの3人が立っていた。フロントにいた受付の女性は気まずそうな顔をしていた。



「もう捕まっちゃいましたね?鬼ごっこは苦手でしたか?」

「足遅いんだよ~。」

「っ…。」

「…」



紘太さんだけ何も言わず、私に近づいてきた。



「ご…ごめんなさい…っ…。」

「…」



謝罪も聞き入れてもらえず、腕を掴まれホテルを出た。



「またコウちゃん後始末俺達に任せるの~?」

「イチ、菜月ちゃんが泊まっていた部屋に行って荷物持ってきてもらえますか?」

「…は~い…。」



紘太さんは2人を無視して止めてあったタクシーに私を乗せ、隣に座った。



「出せ。」

「か…かしこまりました…っ…。」



行き先は伝えてあるのか、運転手は車を走らせた。



「…」



空気が凍り付いていてとても話せるような状況ではなかった。ただずっと、腕を掴まれていた。もう"逃がさない"と言っているようだった。
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