第7章 不可能
彼はニコリと微笑み、腰をあげて私に近づいてきた。
「っ…。」
1歩ずつ…彼を見つめたまま後ろに下がった。
「!…」
そしていつの間にか背後にはドアがあり、逃げ場が無くなった。
「…」(ドア…開けて…すぐに逃げられる…かな…。)
ドアに背を向けたまま、ドアノブに手を伸ばした。
「大人しく戻りますか?それとも、鬼ごっこ、続けますか?」
「っ…。」
私は急いで振り向き、ドアを開け走り出した。
「はぁ…はぁ…。」
お店を出た後、道もわからないまま、がむしゃらに走った。
*
日が落ち、夕方になった。17時を迎え、とりあえず寝泊りするホテルを見つけた。
「…でも…。」
きっとここもバレてしまう。前に家を出た時も起きたら紘太さんがいた。
「…」(スマホに…GPSとか…やっぱり付いてるのかな…。なら、スマホの電源を落とせば居場所はバレないはず…。)
そう思い、電源を落としベッドの上にスマホを置いた。