第1章 出会い
「…」
彼は立ち上がり、手に付着した血液を服で乱暴に拭いた。そして今度は私の目の前に立った。
「っ…。」
同じように…殺されてしまうのか…と…私は思い切り目を瞑った。
「…」
でも起こったのは…痛みではなく違和感だった。
「んっ…!」
リップ音がなり唇に違和感が走った。
「っふぁ…っん…ん…!」
口の中に舌を入れられ、ぐちゅぐちゅとかき回される。私は力が抜け、持っていた紙袋を落としてしまった。彼は気にせず両手で私の頬に手を添え、何度も何度もキスを繰り返した。
「っぅ…ん…!」(血の…匂い…。)
彼の手にこびりついた乾いた血液の匂いが鼻をくすぐった。
「っはぁ…けほっ…けほっ…。」
ようやく唇が離れた。彼の口が離れる時透明な糸が見え、彼の口の端に伝った。
「はぁ…はぁ…。」
彼の目的がわからない……性欲処理ならば、彼女ですれば良かったのに彼女を簡単に殺した。