第1章 出会い
「っ…。」
彼の顔を見ずに急いで玄関に向かった。
「…」(逃げ…ないと…。)
ドアノブに手を伸ばしたとき、後ろから体を抱き上げられた。
「!…」
「逃げられると思った?」
耳元でそう囁かれ、今度は別室へ連れて行かれた。ドアを開け、彼は私をベッドに押し倒した。
「っ…!」
「…フッ…やっと見つけた。」
「…!」
目を開けると、部屋中に私の写真が貼ってあった。壁や天井、床、写真立て……まともなのはベッドくらいだった。驚いたのが、パソコンの画面に私の部屋が映っていたのだ。カメラ…いつ仕掛けられたのか全くわからない。
「っ…ここ…は…。」
「ここは俺の部屋。アンタに会いたかったよ。まさか自分から会いに来てくれるなんて…思ってもみなかったよ。」
彼は口角を上げ、もう1度私にキスをした。
「会いたかったよ。」
「っ…。」
でも私は…彼のことを知らない…。
「あ…の……いつ…から…私を…?」
「いつ……アンタが10歳の時。」
「!…」
私は今20歳なので小学4年生の時…となると10年前ということになる…。