第6章 関係
*
隣を歩いている彼からはほんのり血の匂いがした。
「…あの…。」
「…」
「よ、良かったん…ですか…?彼女さんのこと……簡単に殺しちゃったり…して…。」
「…彼女じゃねぇよ。」
「!…え…。」
「…何回かヤった女が勘違いして言ってるだけ。」
「…」(彼女…いないんだ…。)
なぜかホッとしてしまった。
*
家に着き、いつも通りテレビを付けた。
「…」(また…殺害事件…。)
「菜月。」
「!…はい。」
「…怪我は?」
「え…あ…だ、大丈夫です。」
「…」
彼は目を細め頬を撫でた。
「…ならいい…。」
「っ…あ…あの……か、買い物…行ってきていいですか…?」
「…俺も」
「い、行ってきます…!」
初めて返事を聞かずに家を出た。
「…」(おかしい……。)
ドキドキする…。
心臓がうるさくて……彼が私だけを見ていないとモヤモヤして……。
「っ…。」(どう…したんだろう…。)
*
コンビニに着き、周りの目を気にしながらゴムを買った。
「…」(こ…これで…いいのかな…。)
サイズとかよくわからない…。
「あ、ありがとうございました…。」
店員さんにも気まずそうな顔をされた。