第6章 関係
「あ、もしもし、コウさんですか?…あの…菜月ちゃんがある事情で外にいまして…風邪ひいちゃうのでとりあえずウチに連れて行きますね。私はコウさんの家の鍵を持っていないので……え?あぁ…それが…女性の方に追い出されてしまったみたいで……えぇ…。」
「…」(紘太さん…どこに行ってるんだろう…。)
いつも、出かけてくる。の一言だけで、どこへ行くのかは伝えてくれない。
"コウさんは色んな女の人に手出してるから"
「っ…。」(女の人のところ…かな…。)
「電話、終わりましたよ。」
「!…あ…す、すみません…私から連絡すれば良かったのに…。」
「いえ、お気になさらず。」
ニコリと微笑んでくれた。
「あ…あの…周一郎さんと…イチさんは…同居していらっしゃる…って…。」
「あっ…えぇ、まぁ…。シュウでいいですよ?…イチは4歳からずっと一緒にいるんです。お互い親に捨てられて施設で会ったんですよ。」
「!…」(施設…。)
「…フフッ…まぁそれも、かなり前のことですけどね。」
「…」(いつも笑っている2人だけど…凄い過去を歩んできたんだろうなぁ……いつか聞けたらいいな……。)
私に出来ることなんて何もないけど……。