第5章 貴方に優しく他人に冷たく…
「少し寝るか。」
彼は煙草の火を消して私を抱き上げた。
「ん…っ…。」(煙草の匂い…。)
服に付いた匂いも安心するものへと変わっていった。別室へ連れて行かれ、ベッドに体を寝かせてくれた。
「…」(相変わらず慣れないなぁ…私の写真ばっかり…。)
「…」
彼も隣に座りスマホで誰かとLINEをしていた。
「…」(ね…む…。)
私は意識を手放した。
*
「ん…っ…。」
何時間経過したかわからないけど、目が覚めた。リビングからは話し声が聞こえた。誰かの声と…イチさんの声も聞こえた。
「…」(部屋から…出ない方がいいのかな…。)
ベッドから起き上がり、床に足をつけた。スマホで時間を確認すると1:30と表示されていた。
「…」(夜中…。)
喉が渇き、部屋を出て冷蔵庫へ向かった。リビングとキッチンは繋がっており、冷蔵庫の左側がリビング、右側にシンクなどがあり、キッチンになっている。
「あれ?おはよう菜月ちゃん。」
「あ…お、おはようございます…。」
イチさんと紘太さん、あと知らない男性が1人座っていた。