第5章 貴方に優しく他人に冷たく…
*
「…ふーっ…。」
「…」
しばらくして震えも恐怖心も止まった。私は彼の膝と膝の間に座ってプリンを食べ、彼は煙草を吸っていた。後ろから抱きしめられ、一緒にテレビを見ていた。
「…」(なんか……幸せ…。)
親戚の人から愛情は貰った。それでもきっと…私は愛に飢えていたのだろう。彼が私を愛してくれているのかわからない……いつ捨てられるのかわからないけど……今が凄く幸せだった。
「…これ…痛くないんですか?」
腕に入っている刺青を見て聞いてみた。
「痛ぇよ。」
「…」(なんで入れたんだろう…。)
「入れてみる?」
「!…」
私は首を横に振った。
「フッ…。」
「…」(鼻で笑われた…。)
*
テレビを見たりスマホを見たり、お互いが好きなことをしていたけど体勢は変わらなかった。1時間ほどそうして過ごした後、うとうとしてきてしまった。
「…」(眠い…。)
人は殺されるしたまに異臭はするけど、私の中でここはとても居心地が良い所に変わっていった。
「…んっ…。」
ベッドへ行こうと立ち上がろうとした。でも立てなかった。
「…何?」
「…眠いです…。」
彼に抱きしめられていたから。