第2章 異常な愛
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「ん…っ…?」(煙……?)
目を開けると、うっすら煙が見えた。そして鼻をくすぐる煙草の匂い……。
「…!?」
椅子に座り、煙草を吸っている彼の姿が見えた。驚きすぎて声が出ず、飛び起きてしまった。
「っ…。」(ど…どうしてここに…。)
ベッドの上で座り込んでしまった…。私が起きたことに気付くと、彼は椅子から腰をあげ、近づいてきた。
「…誰が部屋を出ていいと言った?」
「…ご…ごめんなさい…っ…。」
天国のお母さん、お父さん、お兄ちゃん、親戚のおばさん……もうそちらの世界へ行けるかもしれないです……。
「…ふーっ……手、出せ。」
「!…え…。」
「…」
煙草の煙を吐き、私に煙草の火を近づけた。
「っ…。」(そういうこと……手を灰皿にして火を消させろってこと……!?)
でももう…逃げられない……。
「…っ…。」
私は思いきり目を瞑り、両手の掌を前に出した。