第12章 【番外編】 東雲紘太という男
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逃げ出す術も見つからないまま、俺らは12歳になった。12になるまで俺ら3人は呼ばれず、あの部屋に居続けることができた。”お友達”が呼ばれ、人が減ったらまた新しい”お友達”がやってくる。紹介して、あいつはまた、胡散臭い笑顔で笑う。憎くてたまらない。
そんなある日だった。
「いいかい君達。君達はここで、最年長の3人だ。」
食事の時間でもない、呼びに来たわけでもないのに、急に部屋に入ってきてあいつは言った。
「だからね、お外に出て、色々なものに触れてくるといいさ。時間は1時間。何をしてきてもいいよ。でも、ちゃんと帰ってこなかったら……どうなるか、わかってるよな?」
「!…」
「っ…。」
「……はい…。」
憎くてたまらないあいつ。それなのに…逆らうことができなかった。完全に「洗脳」というやつだ。