第12章 【番外編】 東雲紘太という男
聞けば2人は両親に捨てられ、4歳から一緒にいて、施設には約3年いるらしい。
「…この施設は変だろ。北側にある壁一面の窓ガラス。触れてみてわかった。何かをぶつけても、とても壊れる気配なんてない。それに、建物一面真っ白、内装も。そして…あの胡散臭ぇヤツも。」
紹介された時に聞いただろうと思って、名前は名乗らなかった。
「……約3年いて、わかりました。ここはおかしい。」
「…もう…逃げられないんだよ…。」
「…」
そんな気はしていた。出口がどこにもない。移動するのは食堂に行く時のみ。廊下は広く、施設内はもっと広いのだろう。
「……ここにいる先生は1人だけ。でも、関わっているのはもっと多くの人がいます。」
「…どういうことだ?」
思い返せば、この時の会話の内容は…とてもまだ未熟な…7歳が知って良いことではなかった。